従来、価値情報は、その価値を担う媒体として、紙や貴金属　等の実在する媒体（以後、実媒体）を使用してきた。
この為、価値情報を使用する当事者間において、その実媒体を手渡しなどで、直接やり取りする必要があった為、時間的制約、及び、空間的制約を解決する事が難しかった。

本来、価値情報とは、その情報自体に価値がある物であり、この時、価値媒体とは、価値情報を含んだ媒体に対して、物理的な創意工夫を施す事により、簡単には複製、改竄できない形に加工する事で、その価値情報を高いレベルで保証する（セキュリティーレベルを高める）ものである。言い換えれば、価値情報の複製、及び改竄を防ぐ事ができるのなら、価値情報は、実在する媒体に格納する必要は無い。（実媒体をあえて使用するメリットも当然考えられるが、本件では触れない）

昨今の携帯電話の性能向上、及び、インフラが整備された結果、携帯電話のアプリケーションから、インターネットとの接続ができるようになっている。また、2002年4月以降から、近接通信機能を実装している端末（2004年4月時点では、赤外線のみ）が発売されている。

本研究では、これら携帯端末の機能を活用する事により、電子価値情報を、インターネットを介して、携帯端末のメモリ領域にダウンロードし、かつ、端末に搭載された近接通信機能を用いる事により、双方向認証によるセキュアなデータの送受信機能を実現する。